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水稲遠野2号

親は水稲農林1号(母本)と庄内早生(父本)です。1932年に交配。育成は農林省農事試験場鴻巣試験地(交配)→ 岩手県立農事試験場遠野試験地(農林省指定凶作防止試験地)。

遠系3号 TOK0000030

森多早生 → 水稲農林1号 陸羽132号 → 水稲農林1号 陸羽20号 → 陸羽132号 亀の尾4号 → 陸羽132号 愛国 → 陸羽20号 水稲農林1号 → 水稲遠野2号 庄内早生 → 水稲遠野2号 水稲遠野2号 遠系3号 水稲農林1号 北陸4号 庄内早生 森多早生 陸羽132号 陸羽20号 亀の尾4号 愛国
系統図には、この品種の親と、コシヒカリへつながる血筋を描いています。子孫については、作付割合のある主な品種だけを描き、もう一方の親は下の一覧に交配組合せとして全件記載しています。図に描いていない子孫も、下の「子孫」に全件出しています。うすい枠は品種名のついていない育成系統です。

親

子孫

続柄は、いちばん近い血のつながりで数えています。系統図の段は交配の順序で決めているので、経路が複数ある品種は続柄より下の段に描かれることがあります。

農林1号が母になっている4例目

「水稲遠野2号」は昭和7年農林省農事試験場鴻巣試験地において「農林1号」を母とし「庄内早生」を父として交配を行い、昭和10年岩手県立農事試験場遠野試験地(農林省指定凶作防止試験地)の創設と同時にその雑種第3代種子の配付を受け

交配は昭和7年=1932年。母は水稲農林1号です。

このサイトで農林1号が母側に出てくるのは、 水稲愛子2号・水稲藤坂4号・水稲農林42号に続いて4例目。 父側は9本。どちらが多いかは分かりますが、分かれ方の規則は見つかりません。

試験地ができた年に、種が来ている

昭和10年岩手県立農事試験場遠野試験地(農林省指定凶作防止試験地)の創設と同時にその雑種第3代種子の配付を受け

創設と同時。遠野試験地は昭和10年にできて、その年にF3の種が届いています。

水稲愛子2号のページに、凶作防止試験という仕組みのことを書きました。 昭和10年から東北6県の農事試験場を指定し、経費の全額を国が出す。 愛子試験地(宮城)も、この遠野試験地(岩手)も、どちらも昭和10年に創設されています。

同じ年に生まれた2つの試験地が、どちらも農林1号の子を1つずつ出した。 しかも系統名がどちらも「3号」です。

試験地 系統名 品種名 命名
宮城 愛子(昭和10年創設) 愛系3号 → あ系3号 水稲愛子2号 昭和18年3月
岩手 遠野(昭和10年創設) 遠系3号 水稲遠野2号 昭和15年3月

品種名も試験地の名前から来ています。

署名が農林省のまま

序の文章は愛子2号のものとほとんど同じです。違うのは末尾です。

昭和16年3月 農林省農政局

愛子2号の序は「昭和19年3月 農商省農政局」でした。 農林省と商工省が合併していた時期(昭和18〜20年)の署名です。

同じ序文が、3年の差で別の役所の名前で出ている。 資料の署名は、その資料が書かれた時期の国の形をそのまま写しています。

比べる相手が在来種

「水稲遠野2号」は粳にして、出穂の時期は在来種の「六日早稲」に比し稍々晩きも成熟の時期は稍々早く岩手県下においては中生種に属す。 冷水に対する抵抗性は「六日早稲」よりは相当強きものの如く、在来種の「関山2号」と略々同程度のものの如し。

比較の相手が「在来種」と書かれています。

このサイトの来歴文書は、たいてい農林番号や地方番号の品種と比べます。 オバコワセは農林1号と陸羽132号、 ワカクサはホウネンワセ・越路早生・タレホナミ——どれも育成された品種です。

遠野2号は六日早稲と関山2号、つまり農家がその土地で作っていたものと比べられています。

凶作を防ぐための品種だったからです。 置き換える相手が在来種なら、物差しも在来種になる。 比較の相手には、その品種が置かれた場所がそのまま出ます。

稈長は「六日早稲」より稍々短く、分蘖は極めて多し。

分蘖は極めて多し。「極めて」を使っているのはここだけです。

諸説あり

農林1号の母本の表記

同じ農研機構データベースの中で、系譜図の欄と来歴文書で表記が異なる。系譜図の表記を主とし、別表記を併記する。

亀の尾4号の表記

農研機構データベースの表記を採る。一般に流通している表記は「亀ノ尾」だが、出典が持てるほうを主とする。

まだ確かめられていないこと

21位以下は調べていません

当サイトが収録しているのは、令和6年産の作付割合で上位20品種と、それらをコシヒカリにつなぐ品種です。21位以下にもコシヒカリの子孫は多数ありますが、まだ一次資料で検証していません。

まっしぐらの交配年

青森県の奨励品種特性一覧表にも、農研機構のデータベースにも、まっしぐら(青系138号)の交配年は書かれていません。交配組合せ「奥羽341号/山形40号」と、平成16年度の奨励品種採用は一次資料で確認していますが、交配がいつ行われたかは未確認です。どちらが母本かも、同じ理由で記していません。 2026-10-08 に、育成した機関の側をもう一度あたりました。青森県産業技術センター農林総合研究所の品種データベースのまっしぐらのページには「「まっしぐら」の来歴」という見出しがありますが、その下に本文がありません。同研究所の研究報告でウェブに出ているのは第42号(2015年)以降で、まっしぐらの育成報告にあたる号は含まれていません。つまり、育成した機関自身の公開資料にも交配年が出ていない状態です。

出典

  1. イネ品種データベース検索システム 交配系譜図「越南17号」 — 農研機構 次世代作物開発研究センター ・ 一次資料 ・ 確認日 2026-09-10
  2. イネ品種データベース検索システム「北陸4号(水稲農林1号)」品種来歴文書 — 農研機構 次世代作物開発研究センター ・ 一次資料 ・ 確認日 2026-09-10
  3. イネ品種データベース検索システム 交配系譜図「北陸4号」 — 農研機構 次世代作物開発研究センター ・ 一次資料 ・ 確認日 2026-09-10
  4. イネ品種データベース検索システム「北陸4号を親とする品種一覧」(全263行) — 農研機構 次世代作物開発研究センター ・ 一次資料 ・ 確認日 2026-10-01
  5. イネ品種データベース検索システム 交配系譜図「陸羽132号」 — 農研機構 次世代作物開発研究センター ・ 一次資料 ・ 確認日 2026-09-10
  6. イネ品種データベース検索システム 交配系譜図「陸羽20号」 — 農研機構 次世代作物開発研究センター ・ 一次資料 ・ 確認日 2026-09-10
  7. コシヒカリのエピソード1 〜交配から系統の育成まで〜 — 新潟県 農林水産部 農産園芸課 ・ 一次資料 ・ 確認日 2026-09-10
  8. イネ品種データベース検索システム「遠系3号(水稲遠野2号)」品種来歴文書 — 農研機構 次世代作物開発研究センター ・ 一次資料 ・ 確認日 2026-10-01