トップへ 米

水稲北陸19号

親は磐田朝日3号(母本)と水稲農林1号(父本)です。1930年に交配。育成は新潟県農事試験場における農林省指定水稲新品種育成試験地。

HOK0000190

森多早生 → 水稲農林1号 陸羽132号 → 水稲農林1号 陸羽20号 → 陸羽132号 亀の尾4号 → 陸羽132号 愛国 → 陸羽20号 磐田朝日3号 → 水稲北陸19号 水稲農林1号 → 水稲北陸19号 水稲北陸19号 磐田朝日3号 水稲農林1号 北陸4号 森多早生 陸羽132号 陸羽20号 亀の尾4号 愛国
系統図には、この品種の親と、コシヒカリへつながる血筋を描いています。子孫については、作付割合のある主な品種だけを描き、もう一方の親は下の一覧に交配組合せとして全件記載しています。図に描いていない子孫も、下の「子孫」に全件出しています。うすい枠は品種名のついていない育成系統です。

親

子孫

続柄は、いちばん近い血のつながりで数えています。系統図の段は交配の順序で決めているので、経路が複数ある品種は続柄より下の段に描かれることがあります。

名前がつく前の農林1号と交配している

「水稲北陸19号」は新潟県農事試験場における農林省指定水稲新品種育成試験地において昭和5年に「磐田朝日3号」を母とし「新88号」(後に「水稲農林1号」となりたる系統)を父として人工交配を行い

父は「新88号」です。 括弧の中に「後に「水稲農林1号」となりたる系統」と書かれています。

交配は昭和5年=1930年。 水稲農林1号が命名されたのは昭和6年(1931年)なので、 この交配は、父に名前がつく前に行われています。

このサイトが持っている農林1号を使った交配の中で、いちばん古いものです。

交配年 父の呼び方
昭和5年(1930) 水稲北陸19号 新88号
昭和6年(1931) 水稲愛子2号 農林1号
昭和6年(1931) 水稲農林21号 水稲農林1号

1年の違いで呼び名が変わっています。

同じ形をハツミノリでも見ました。 あちらは母が「北陸23号(後に水稲農林21号となった系統)」でした。 交配のときには名前がなく、文書を書くときには名前がある。 このサイトが系統図に地方番号を併記しているのは、このためです。

序が「既に32品種」と書いている

水稲の優良新品種を育成せんが為、本省においては昭和2年度より気候土質等により全国を8区に分ち、各区毎に1地方農事試験場を指定し経費の全額を交付して

昭和2年度に始まった8区の体制です。 水稲農林6号・8号・20号の序と同じ文章が続きます。

違うのは、途中にある数です。

しかして本組織により育成せる優良新品種は既に32品種に及べり。

序の年 文書 「既に」の数
昭和11年(1936) 水稲農林6号 10品種
昭和12年(1937) 水稲農林8号 18品種
昭和16年(1941) 水稲北陸19号 32品種
昭和18年(1943) 水稲農林20号 38品種

同じ序文が、年ごとに数を書き換えて使われている。 昭和2年に始まった仕組みが、15年で32品種を出した—— その歩みが、同じ1文の数字の変化として残っています。

多肥料のときだけ明らかに多収

「水稲北陸19号」は北陸地方における中生の粳品種たる「銀坊主中生」に比し出穂期及び成熟期共に3、4日早く、やや短強稈にして穂長やや短かきも穂数多く、耐病性やや優れ粒形品質極めて良好なり。

収量は普通区においては「銀坊主中生」程度なるも多肥料区においては明らかに多収なり。

普通に作れば同じ、肥料をやれば勝つ。

比較の相手の銀坊主中生は、このサイトでは ヨモヒカリの父として出てきます。 名前の似た「銀坊主」は別に記録してあり、そちらは コシヒカリの母方の祖母水稲農林8号の母です。 2つが同じ系統から出たものかどうかは、資料で確かめていないので結びません。

肥料に応えられるかどうかが、新しい品種の価値になっていた時期の書き方です。

本品種は主として北陸地方新潟県以南の平坦多肥料栽培地帯に適するものの如し。

「平坦多肥料栽培地帯」。 地帯の名前そのものに、肥料の量が入っています。

諸説あり

農林1号の母本の表記

同じ農研機構データベースの中で、系譜図の欄と来歴文書で表記が異なる。系譜図の表記を主とし、別表記を併記する。

亀の尾4号の表記

農研機構データベースの表記を採る。一般に流通している表記は「亀ノ尾」だが、出典が持てるほうを主とする。

まだ確かめられていないこと

21位以下は調べていません

当サイトが収録しているのは、令和6年産の作付割合で上位20品種と、それらをコシヒカリにつなぐ品種です。21位以下にもコシヒカリの子孫は多数ありますが、まだ一次資料で検証していません。

まっしぐらの交配年

青森県の奨励品種特性一覧表にも、農研機構のデータベースにも、まっしぐら(青系138号)の交配年は書かれていません。交配組合せ「奥羽341号/山形40号」と、平成16年度の奨励品種採用は一次資料で確認していますが、交配がいつ行われたかは未確認です。どちらが母本かも、同じ理由で記していません。 2026-10-08 に、育成した機関の側をもう一度あたりました。青森県産業技術センター農林総合研究所の品種データベースのまっしぐらのページには「「まっしぐら」の来歴」という見出しがありますが、その下に本文がありません。同研究所の研究報告でウェブに出ているのは第42号(2015年)以降で、まっしぐらの育成報告にあたる号は含まれていません。つまり、育成した機関自身の公開資料にも交配年が出ていない状態です。

出典

  1. イネ品種データベース検索システム 交配系譜図「越南17号」 — 農研機構 次世代作物開発研究センター ・ 一次資料 ・ 確認日 2026-09-10
  2. イネ品種データベース検索システム「北陸4号(水稲農林1号)」品種来歴文書 — 農研機構 次世代作物開発研究センター ・ 一次資料 ・ 確認日 2026-09-10
  3. イネ品種データベース検索システム 交配系譜図「北陸4号」 — 農研機構 次世代作物開発研究センター ・ 一次資料 ・ 確認日 2026-09-10
  4. イネ品種データベース検索システム「北陸4号を親とする品種一覧」(全263行) — 農研機構 次世代作物開発研究センター ・ 一次資料 ・ 確認日 2026-10-01
  5. イネ品種データベース検索システム 交配系譜図「陸羽132号」 — 農研機構 次世代作物開発研究センター ・ 一次資料 ・ 確認日 2026-09-10
  6. イネ品種データベース検索システム 交配系譜図「陸羽20号」 — 農研機構 次世代作物開発研究センター ・ 一次資料 ・ 確認日 2026-09-10
  7. コシヒカリのエピソード1 〜交配から系統の育成まで〜 — 新潟県 農林水産部 農産園芸課 ・ 一次資料 ・ 確認日 2026-09-10
  8. イネ品種データベース検索システム「北陸19号(水稲北陸19号)」品種来歴文書 — 農研機構 次世代作物開発研究センター ・ 一次資料 ・ 確認日 2026-10-01